カードヒーローの面白さについて

カードヒーローの面白さを一言で語るなら「奥深いゲーム性」となるのだが、これだけではその魅力が全然伝わらないので、その奥深さについて細分化してみた。

  • プレイング重視で、バトル中の判断で勝負が決まる
  • 数字の1に重みがある
  • ピンチがチャンスを生む逆転性の強いシステムである

以下、なるべく未プレイの人にも伝わるように意識して書いた詳しい説明。

プレイング重視で、バトル中の判断で勝負が決まる

一般的に対戦型カードゲームで勝負を決める要素として、デッキ、プレイング、運の3つが挙げられることが多い。
デッキ構築能力とプレイング能力を合わせて「実力」と呼び、運と実力という形で対比させることもできる。
そして、この3要素の中でプレイングの比重が高いゲームほど、研究しがいがあり奥深い戦略性を持っていると言える。


カードヒーローでは各モンスターが将棋の駒のように固有の攻撃範囲を持っていて、1ターンの間に複数の味方モンスターが複数の相手モンスターに対して攻撃できるので、プレイヤーがとることのできる行動の選択肢が非常に多い。
行動がわずかに違うだけで後の展開が大きく変わるため、正確な読みが必要になる。
そして、ひとつの場面が与えられたとき、その状況での最善手が何なのかは相当やり込んだプレイヤーが時間をかけて考えても簡単には決められず、人によって答えが異なることも多いという事実が、カードヒーローの奥深さを如実に物語っている。


対戦型カードゲームによくある「属性」の概念がカードヒーローにはない。
また、カード総数は150枚+マスター5種で、そのうち実戦で有効に活用できるカードは全体の半分以下であるため、デッキのバリエーションは乏しい。
この点だけ言うとマイナス要素のように聞こえるかもしれないが、バトル中の行動の選択肢が多いため、デッキバリエーションの乏しさが戦略性の多寡とは全く結びついていない。
将棋は毎回同じ盤面でスタートするが無数の戦略をとることができることと似ている。
プレイヤーの個性はデッキよりもプレイングに現れるのだ。
逆に、デッキバリエーションが少ないことによるメリットはある。
デッキの「良し悪し」とは別の「相性」という形で現れる運の要素が少なくなるため、勝負におけるプレイングの比重を高めることに寄与しているのだ。


カードヒーローには絶対的に強力だと言えるカードは存在しない。
どのカードも、長所と短所を併せ持っている。
また、場に出したモンスターの寿命はそれほど長くなく、カードの入れ替わりが激しい。
このため、バトルではデッキに入れたカード全ての長所を引き出すような戦い方をしないと勝てない。
特定の少数の強力なカードに頼って勝てるようなゲームではないのである。
このようなゲーム性ゆえ、「○○のカードを引いた者勝ち」という現象は非常に起こりにくく、勝負に起けるドロー運の比重は比較的小さい。
ドロー運はデッキ構築とプレイングでほぼカバーできると言っても過言ではない。

数字の1に重みがある

モンスターのHP、攻撃力、マジックや特技の使用コストといったゲーム中に出てくる数字は、ほぼ1〜6の範囲に収められている。
出てくる数字は小さい値ばかりだが、これらの数字の設定に一切の無駄がないゲームバランスになっており、1の違いが重要な意味を持っている。
たとえばモンスターのHP。
HP5のモンスターはHP4のモンスターの倍くらい頑丈なイメージがある。
HP4とHP3の関係や、HP6とHP5の関係も同様だ。
これほど緻密にデザインされたゲームを私は他に知らない。

ピンチがチャンスを生む逆転性の強いシステムである

カードヒーローではマスターのHP(これがゼロになると敗北)、モンスターのレベル、マジックや特技を使うのに必要なコストが全てストーンという一つの資源で管理されている。
マスターのHPが減ったりモンスターが倒されたりしたときにはその分のストーンが自分の所持ストーンに変換され、それが反撃のための武器になるので、ピンチはチャンスにつながる。
このシステムのおかげで実力の拮抗したプレイヤー同士のバトルにおいてはワンサイドゲームになることはなく、スリリングなバトル展開が保障されているのがカードヒーローの魅力の一つだ。
さらに、概念の全く異なるこれら複数のパラメータを一元管理しているにも関わらず、プレイしていて全く不自然さを感じさせないゲームバランスになっていることも付記しておかねばならない。