ドミニオンGUIでの基本セット研究のまとめ

基本セットの主戦略

基本セットにおいては、以下の3つが勝つための主戦略になります。

  • 庭園戦略:庭園を大量に取得しつつ3山切れでのゲーム終了を目指す。
  • 礼拝堂圧縮戦略:礼拝堂を使ってデッキの銅貨、屋敷をすべてリムーブすることでデッキ内のカード1枚あたりの価値をできる限り高めて属州を買い続ける。
  • コイン戦略:アクションカードは最小限の枚数しか取得せず、銀貨、金貨を増やして効率よく属州を買えるようにする。

この3つの戦略にはかなりはっきりした強弱の差があり、庭園戦略>礼拝堂圧縮戦略>コイン戦略となっています。
ゲーム開始前に10枚のアクションカードを見て、まず庭園があるなら庭園戦略、次に礼拝堂があるなら礼拝堂圧縮戦略を狙うのが基本になります。


アクションカードを大量に取得し、コンボをつなげてカードをたくさん引いて属州買いを狙う戦略もありますが、コイン戦略に比べて勝率で劣るのでゲームに勝つことを第1目標とするなら実用的ではありません。
CPUの勝率に注目していると、庭園のない場ではアクション少CPUの勝率が高く、アクション多CPUの勝率が低いという結果が明確に出ていました。


以下、3つの主戦略の要点を述べます。

庭園戦略

相性のいいカード

工房、泥棒、役人、祝祭、木こり、改築、祝宴、地下貯蔵庫、玉座の間

強さの理由

庭園が場にある場合、庭園戦略をとった方がほぼ確実に有利です。
「庭園1人−その他3人」の場合、1人で庭園を独占でき、他の人は属州の取り合いになるので、属州切れでゲーム終了した際に得点で上回ることができます。
「庭園3人−その他1人」の場合、3山切れが早いので、庭園狙いでない人が属州を買い集める前にゲームが終了します。
「庭園2人−その他2人」の場合は場のアクションカードとメンバーのプレイングによって属州切れで終わるか3山切れで終わるかが変わってきますが、どちらの場合も庭園戦略の方が勝ちやすいようです。
特に、場に工房と泥棒のどちらか片方でもあるなら、庭園戦略がほぼ必勝です。
ただし、庭園と相性のいいカードが場にまったくない場合は例外で、庭園戦略ではほとんど勝てなくなります。

よくある勘違い

庭園戦略の場合はゲームをできるだけ引き伸ばしてデッキ枚数を増やした方がよい、という考えは間違いです。
ゲームが長引いて得をするのは、態勢を整えてから一気に属州を買い続ける狙いの礼拝堂圧縮戦略やコイン戦略の方です。

場に工房がある場合

庭園戦略と相性のいいカードで最も重要なのは工房です。
最初に工房を3枚ほど取り、その後は庭園と屋敷を取り続けるのが早くて強いです。
この場合、庭園、工房、屋敷の3山切れでゲーム終了することになります。
他の戦略をとっていてはスピードでまず勝てないので、分かっている人同士の対戦だと、場に庭園と工房があるなら全員が同じ戦略をとることになると思われます。
その結果、さらに展開が早まり、10ターンもかからずにゲーム終了します。
こうなると完全に運勝負ですね。

デッキのカード枚数を増やしながら庭園買いをサポート

泥棒、役人、祝祭、木こりの4種は、デッキのカード枚数を増やしながら庭園買いをサポートできるカードです。
玉座の間をこれらと連携させるのも強いです。


泥棒は、礼拝堂圧縮戦略やコイン戦略の相手に対する妨害効果は高いですが、全員が庭園戦略をとっているなら効果は薄いです。
ただし、他の人が役人を使った直後に泥棒を使うとその人から銀貨を奪うことができます。

最初に銀貨を買っておく

ゲームが始まってすぐに庭園を買いに走るとデッキ内のコイン比率が低くなりすぎて逆に庭園を買える枚数が少なくなってしまうので、最初に銀貨または仮想コインのあるアクションカードを何枚か購入しておく必要があります。
どれくらい買うのが一番効率がいいのかは場のアクションカードとメンバーのプレイングによって変わってくる要素でまだ詳しい研究はできていませんが、大体2〜4枚になると思われます。


全員が庭園戦略をとった場合には1人あたりの庭園枚数は2〜4枚となり、かつ1枚あたり3点の段階で終了することが多く、庭園だけではあまり得点に差がつかないため、公領や属州をどれだけ買えるかが勝負の分かれ目になります。
このような状況ではコイン多め、庭園少なめにするのが良さそうです。
では全員が同じことを考えていたら? と考察を進めると、庭園戦略の奥深さが見えてくる気がします。

庭園がなくなった後

庭園戦略においては、庭園がなくなった後のプレイングが重要です。
礼拝堂圧縮戦略やコイン戦略の相手がいる場合は素早い3山切れを狙いつつ、他の庭園戦略の相手に得点で負けないようにしなければなりません。
この段階では公領や属州を何枚買えるかがポイントになります。
手札にコインが集りにくくなっているので、改築を使って銀貨や3〜4コストのアクションカードを公領に換える手や、祝宴を公領に換える手が効率的です。
また、デッキ内のコイン比率が下がっているので、地下貯蔵庫も役に立ちます。

魔女に強い

庭園戦略は魔女による妨害に強いです。
呪いを10枚送り込まれてもその10枚でちょうど庭園の得点が1増えるので、実質的なマイナスは「10−(所有している庭園の枚数)」になります。
ただし、あくまでもマイナスの緩和にすぎないので、改築で呪いを屋敷に換えて差し引きプラス2点を得る手は悪くありません。

自分のデッキのカード枚数を意識する必要はほとんどない

工房がない場だと、ゲーム終了時のデッキ枚数は大体30〜49枚の範囲に入ります。
39枚と40枚の間に壁があるので、30枚台後半で終わりそうなときにうまく調節して40枚になってから終わるようにできれば、持っている庭園の枚数分だけ得点が増えることになります。
しかし、この増加は他の人に属州1枚または公領2枚を買われたら逆転されてしまう程度の量なので、無理にゲーム終了を遅らせるメリットはあまりありません。
メンバー全員の得点を常に把握しつつ緻密に展開をコントロールしないといけないレベルの対戦でもない限り、自分のデッキのカード枚数を意識する必要はないでしょう。

礼拝堂圧縮戦略

相性のいいカード

書庫鍛冶屋、議事堂、研究所、市場、鉱山

基本方針

初手で礼拝堂と銀貨を買い、次ターン以降は礼拝堂で銅貨と屋敷をリムーブし続けます。
デッキを礼拝堂、銀貨×3の状態にまで圧縮できたら、そこから金貨を1枚買い、後は属州>金貨>銀貨の優先順位で購入し続けます。
属州を何枚か買うと手札のコインが8金に届かなくなることが増えてくるので、途中で他のアクションカードによるサポートも必要になります。

3枚以上ドローするカードによるサポート

一番いいサポートは、書庫と鍛冶屋のどちらかを1枚だけ買う方法です。
この2種は手札5枚の状態で使うならどちらも3枚ドローになりますが、以下の点で書庫の方が優れています。

  • 礼拝堂を引いたときに手札に入れなくていい
  • 民兵を使われた後なら5枚ドローできる

一方、議事堂を使われた後なら書庫でドローできるのは2枚だけになるので、鍛冶屋の方が優れます。
実際には民兵がない状況なら大差はないので、両方場にあるならドローサポートを買いたいタイミングで5金あれば書庫、4金しかなければ鍛冶屋を買ったのでいいでしょう。


議事堂の4枚ドローは強いですが、3枚引ければ十分8金に届く場合が多いので、引きすぎの感があります。
他の人も礼拝堂圧縮戦略をとっている場合は特に、1枚ドローさせてしまうデメリットはかなり大きいです。
議事堂を買うのは他にサポートカードがない場合か、自分がリードしていて先行逃げ切りできそうな場合のみにするのがいいと思われます。

1アクション1ドロー系によるサポート

研究所は自身をカード2枚に換えるカード、市場は自身をカード1枚と1金に換えるカードです。
礼拝堂圧縮によってデッキ内のカード1枚あたりの価値が1金を超えているなら、これらのカードを使うことで手中の金数の増加が見込めます。
1アクションついているのでドローによって研究所や市場を引いてもロスがないのがポイントで、このために研究所や市場を買えるだけ買う戦略が成立します。
ただし金貨の代わりに買うほどの価値はないので、5金のときに限り買うようにすべきです。

鉱山によるサポート

手札のコインが金貨、銀貨、銀貨の3枚になる状況は多いので、鉱山で銀貨を金貨に換える戦略も有力です。
このとき、最終形は礼拝堂、金貨、属州のみになることも多いです。

弱点は泥棒と民兵だが気にするほどではない

デッキ内のコインを銀貨と金貨のみにするので、泥棒を使われたときの被害が大きいです。
特に、庭園、礼拝堂、泥棒の3種がある場では絶対に礼拝堂圧縮戦略をとるべきではありません。
逆に庭園がない場であれば、そもそも泥棒を使うことによる本人の得は少ないので、泥棒が場にあってもあまり気にしなくてもいいと思います。
また、泥棒を使うのが1人であれば、銀貨や金貨を奪われても補充するスピードの方がはるかに速いので、大した痛手にはなりません。


早いタイミングで民兵を取得した人がいた場合、礼拝堂による圧縮を進めづらくなります。
しかし、この場合は全員の手の進みが遅くなるので、礼拝堂圧縮戦略を避けるべきということはありません。
圧縮が完了してデッキ内の金貨の割合が高くなれば、コイン戦略の相手よりは相対的に有利な立場にいることになります。

魔女に強い

礼拝堂で呪いをリムーブできるので魔女による妨害に強いです。
ただしこの場合、呪いの除去に手を取られるので属州を買えるようになるタイミングが大幅に遅れます。
一番の魔女対策は自分も魔女を取得して先に相手に呪いを押し付けることなので、呪いがなくなるまでは礼拝堂による圧縮よりも魔女の使用を優先する方がいいと思われます。

コイン戦略

ここでは庭園と礼拝堂は場にないものとして考えます。

私的カードランク

5:魔女
4:書庫、鍛冶屋、研究所、市場
3:鉱山、金貸し、改築、議事堂、民兵、地下貯蔵庫
2:堀、宰相、祝宴、泥棒、役人、祝祭
1:工房、木こり、村、密偵玉座の間、冒険者


カードランク2以下のカードは基本的に使いません。

魔女がある場合

コイン戦略の場合は、場に魔女があるかないかが一番大きなポイントになります。
魔女がある場合は、最初から積極的に魔女を取って使うようにしていかないとまず勝てません。
呪いは得点マイナス以上に手札圧迫の妨害効果が強いので、一方的に呪いを押し付けられ続けると身動きが取れなくなります。


魔女には2ドローの効果もあるので、魔女がある場合は他のドローカードは不要です。
魔女を2〜3枚買って使い続けるのがいいでしょう。


魔女と併用して効果が高いアクションカードは改築と地下貯蔵庫です。
改築は呪い→屋敷、屋敷→銀貨、金貨→属州に使用します。
銀貨を増やせるので魔女のドローと相性がいいのと、8金に届きにくい環境になるので金貨1枚を属州に換えられるのが強みです。
地下貯蔵庫は手中のコイン密度を上げるのに使えますし、早い段階で1枚買っておけば魔女を使用する頻度を上げることができます。


魔女対策としては他に堀が考えられますが、手札にあるときしか防御に使えないし、ドローの効果が魔女と重複するので、トータルで見るとあまり得にはならないと思います。

魔女がない場合

魔女がない場合は、大別すると以下の2パターンのアクション取得が強いようです。

  • 鍛冶屋、書庫、議事堂の中から2枚
  • 金貸し、鉱山、改築の中から1枚と、研究所、市場を買えるだけ
鍛冶屋、書庫、議事堂の中から2枚パターン

3枚以上ドローするカードを利用して8金に届きやすくします。
基本的な狙いや各カードの特徴は礼拝堂圧縮戦略の「3枚以上ドローするカードによるサポート」の項での解説した内容と同じです。

鉱山、金貸し、改築の中から1枚と、研究所、市場を買えるだけパターン

鉱山、金貸し、改築のいずれか1枚によってデッキ内のコイン密度を高めつつ、研究所、市場でカードを多く引いて8金に届きやすくします。
礼拝堂圧縮戦略の「1アクション1ドロー系によるサポート」の項と同じく、研究所、市場を買うのは5金のときのみです。
手札が5金止まりになることはよくあるので、その際に研究所か市場を買って後に銀貨以上の価値を生じさせる狙いです。
ドローでアクションカードを引いてもロスがまったくない構成になっているのがポイントです。
鉱山、金貸し、改築の3種の強弱関係は、鉱山>金貸し>改築のようです。

場にドローカードがない場合

場に書庫、鍛冶屋、議事堂、研究所、市場のいずれもない場合、ゆっくりした展開になります。
鉱山、金貸し、改築によってデッキのコイン密度を高めたり、民兵によって相手の手を遅らせたりしながら、属州が買える状態になるのを待つことになるでしょう。

実践して確認

以上の考察に基づいて、無印ランダムのセットで50戦行ってみました。
結果は以下の通りです。

総数 1位率 2位率 3位率 4位率 平均順位
自分の戦績 50 0.420 0.320 0.200 0.060 1.900
アクション少の戦績 50 0.220 0.200 0.300 0.280 2.640
アクション中の戦績 50 0.220 0.200 0.240 0.340 2.700
アクション多の戦績 50 0.300 0.220 0.220 0.260 2.440

CPUの戦略別の勝率はこちら。

総数 1位率 2位率 3位率 4位率 平均順位
アクション少汎用の戦績 50 0.220 0.200 0.300 0.280 2.640
アクション中汎用の戦績 44 0.227 0.182 0.227 0.364 2.727
アクション多汎用の戦績 26 0.154 0.192 0.231 0.423 2.923
庭特化(中)の戦績 6 0.167 0.333 0.333 0.167 2.500
庭特化(多)の戦績 24 0.458 0.250 0.208 0.083 1.917


特別に高い勝率を出すことはできませんでしたが、負けても僅差のことが多く、非常に安定した成績を収めることができました。
負けた場合には1位になったCPUの取得アクションカードを毎回確認しているのですが、大体はこれまで述べてきた戦略に沿った内容になっていたので、理論としては大筋では間違っていることはなさそうです。
ただし、中にはまったく想定していなかったパターンで勝たれているときもあったので、細部の研究の余地はまだまだありそうです。
特に、アクション多CPUが庭園戦略をとったときは、5〜6種類のアクションカードを組み合わせて使用するという完全に私の考察外の手で高い勝率を上げているので、庭園戦略については今回述べたように単純化して考えるべきではないのかもしれません。


あと、自分が最善を尽くせたとしても、やはり運の影響も大きいです。
最後に8金に届くか届かないかで順位が変わるようなゲームが何度もありました。


以上で、一連の研究シリーズを終わりとします。

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